初雪
「随分、冷えると思ったら……雪か」
いつものように、アンジールの部屋で林檎の紅茶を二人で飲んで寛いでいると、ふと窓の方を見てアンジールが呟いた。
言われてジェネシスも窓を見遣る。と、ソファから立ち上がって、窓辺まで行き硝子越しに空を見上げた。
初雪とは思えない大粒の雪は、まるで沢山の綿埃が降ってくるかのように見える。この分だと、直ぐには解けずに幾らか積もるかも知れない。
「アンジール、今夜は泊めてくれ」
ソファの方に戻ったジェネシスは、アンジールの隣に座りながら了承以外の返事を許さないような言い方で強請る。
「構わんが……どうした、急に?」
ジェネシスがアンジールの部屋に泊まる事はたまにあるが、予め何日か前から約束した上での事が多かった。
「だって、今もこんなに寒いのに夜になったら、もっと冷え込むだろう? お前と一緒に寝れば暖かいからな」
言いながら、アンジールに寄り掛り甘えるように肩口に顔を埋ずめる。
冷暖房完備のソルジャー宿舎に住んでいて、何の戯言かと突っ込んでやりたくなるが、実はアンジールの部屋の虫がしばしばジェネシスの部屋に侵入するくらいなので、それ程しっかりした造りの建物だとは言い難い。忙しく任務に飛び回り、宿舎では寝るだけみたいな生活を送っているから普段は気にならないが、意外と隙間風が入ってくるのだ。
アンジールは自分で煎れた紅茶を啜りながら、苦笑混じりに「自分の分のブランケットは持参しろよ」と答えてやった。
end
2009/11/3