成長の過程

ジェネシスは、仕事に厳しい。
妥協や寛容といったものを持ち合わせていないから、徹底的で容赦が無い。自分の任務だけではなく、後輩ヘの指導に於いてもそうだったから、ジェネシスは自分の指導に付いてこれる奴しか面倒を見なかった。
当然の如くザックスの様な手の掛かるタイプは、アンジールが指導をするしかなかった。でも、アンジールはそんな厄介な後輩が気に入って、本人の預かり知らないところで「子犬」と勝手に呼んで可愛がっていた。

◇◆◇

「お前は、良く耐えられるな──
「何がだ?」
幼馴染みの質問の意図が全く掴めず、アンジールは真剣に聞き返す。
「子犬の世話だ! 良く趣味だなんて悠長な事を言ってられる……」
ジェネシスはソファに深く腰掛け、顎を片手で支えながら嘆息してみせる。
「俺は本当に楽しんでやってるんだがな。人間の成長というのは、これがなかなか奥深い……」
「俺は、興味ない」
素っ気なく、あっさりと切り捨てて、更に追い討ちをかける。
「素質があれば、最初からある程度こなせるはずだ。直ぐに使いモノにならないなんて素質がないんじゃないのか?」
流石にアンジールは、透かさず反論する。
「それは、違う。最初から何でも持ってる奴なんかいない。俺だって努力して、成長して、色々なものを身に付けて、そうして今の俺がある。誰だって、そうだ。例え、素質があっても、な。ジェネシス、お前だってそうだろう?」
ジェネシスは、答えずそっぽを向くが、アンジールはジェネシスが努力家である事を知っている。何しろ、あの英雄が目標なのだから。
アンジールは、そんなジェネシスを横目に見ながらぽつりと呟いた。
「それに、手の掛かる奴の面倒を見るのは、慣れてるし……な」
── ?」
聞こえなかったのか、聞こえたけど意味が通じなかったのか、不思議そうな面持ちを向けるジェネシスの頭をアンジールはガシガシと乱暴に撫でてやった。

end
2008/5/30