お前はいつも

「どうしたんだ? 今日は任務があるんじゃなかったのか」
突然のセフィロスの来訪に、ジェネシスは髪を掻き上げながら不機嫌そうに顔を顰めてみせた。
「まだ、出立まで少し時間がある」
セフィロスは言いながら、構わずジェネシスの私室へ入るとドアを閉め、そのままジェネシスを部屋の廊下の壁に押し付けた。
「行く前に、お前の顔が見たくなった。悪いか?」
「ふん、珍しい。お前はいつも黙って戻って、黙って出ていく癖に……」
「そうだな──
セフィロスは、少し思案顔を見せて。
「考え方が変わったのかも知れない」
愛おしそうにジェネシスの髪や頬にゆっくりと指を滑らせて。
「以前は、ほんの僅かな時間しか会えないのなら会っても無駄だと思っていた。だが、今は……」
魔晄を帯びた翡翠の瞳でジェネシスの顔を覗き込む。
「ほんの僅かな時間でもお前に会いたい、お前の顔を見たい……」
「なっ……! ば、馬鹿じゃないのか!? 今更、そんな事言うな── !」
真顔で言われ慣れない事を言われ、ジェネシスはセフィロスの身体を離そうと押しやりつつ真っ赤になって俯いた。
「ジェネシス、顔を上げてくれ。ちゃんと顔を見せろ」
ジェネシスは暫し間を置いて、渋々といった感じで面を上げる。と、直ぐに顎に手が添えられキスが降りてくる。ゆっくりと口内を這い回り絡めてくるセフィロスの舌の感触に、ジェネシスは縋りつくようにセフィロスの背中に腕を廻した。唇ヘのキスはやがて首筋へと移動し、コートの内へと滑り込んだセフィロスの手はインナーの上からジェネシスの身体を弄り、胸の突起を抓む。
「ん! はぁ……やめろ……」
抗議の声も、再び唇を塞がれて続かない。嫌でも感情が高まってくる。背中に縋りつく腕も既に力が入らない。
「やめろ……したく、なる」
キスが再び首筋に移動した隙に、ようやく残りの抗議の言葉を吐き出した。
「今── するか?」
セフィロスは、ジェネシスの双眸を見据え、口角を上げる。
「……」
思いも掛けぬ言葉にジェネシスは目を見開き返答出来ずにいると、セフィロスは表情を変えぬままちらりと壁の時計を見遣り。
「と、言いたいところだが、もう時間だな──
さらりと言ってのけると、ジェネシスの頬に柔らかくキスを落として、耳元で「会えて良かった」と囁いてから部屋を出て行った。
「…………アイツ……反則、だ」
ジェネシスは、呆然として呟くと脱力して、壁に寄り掛かったままずるずるとその場にへたり込んだ。

end
2008/6/23